今、目の前にコレだけの
リモコンがある。
リビングだけで、このザマだ。
寝室だの何だのと数えていけば、無数にある。
いいのかこれで!
ドンッ!(机を叩いた音)
テレビを観るだけで、3つのリモコンを、
駆使しなければならないって、どげんこつね。
その昔、リモコンは有難かった。
いちいちテレビの所まで歩いていく面倒を省いてくれた。
いちいち、室内灯を消す労力を、少なくしてくれた。
<いちいち>という動作を、カットしてくれた。
我々は、今知った。
《あるモノをカットすれば、あるモノが増える事を》
増えたのはリモコンだ。
リモコンが便利なのは、今でも変わらない。
問題は、その<判別>である。
「いったいコレは何のリモコンなのか?」
さらなる問題は、<所在>である。
リモコンはいずこ?
室内遭難したリモコンを探す労力に、一日の
かなりの部分がそそがれている。
いまや、電化製品は、本体に動かすポッチがない。
すべて、リモコンで操作するように出来ている。
そのリモコンが、
失踪する。
例えるなら・・
会社の金庫のキーを握って失踪した弁護士のようだ。
弁護士の場合は悪意があるので、いずれ出てくるのだが、
リモコンは、
私が見つけるまでじっとしているから、タチが悪い。
気になって、リモコンの裏を剥がして電池を見てみた。
ふむ・・
ヤツらは、
ある日突然、気を失うのだと云う事が分った。
予告なしに気を失う。
最も必要な瞬間に、気を失うかもしれない。
で、私が何とかしない限り、何もする気がない。
そのくせ、今、リビングでは全権をヤツらが握っている。
私がリモコンを操作しているつもりなのに、
実は、ヤツらが、私を膝まづかしている。
うぅ~