<紅玉(こうぎょく)>
私のリンゴは、紅玉である。
こう語った途端、
「オレも紅玉!」
「私も紅玉!」
我も我もが、紅玉こそ、リンゴだと威張りだす。
昔、リンゴと云えば、紅玉が八百屋の店頭を占めていた。
果物屋などという洒落た店がない時代には、
リンゴもミカンも野菜に分類されていた。
<紅玉>
甘さより、
酸っぱさにテーマをおいた、リンゴ。
とにかく赤ければ良いとでも言いたげな赤さの際立つリンゴ。
カキ~ン!
噛むと、果肉がパックリ割れる、力強さ。
「リンゴを齧ると血が出ませんか?」
あのCMは、紅玉を噛んだ時に思いついたに違いない。
最近では、単純にただ剥いて食べる人がいないらしく、
ケーキなどの加工用に、山積みになって売られている。
売られてと云っても、どこでも売られていない。
滅多にお目にかかれない。
だから、店頭で見つけると、思わず買ってしまう。
後先考えず、旅先で買ってしまい、
それも、6つ入りを、カバンに入れて、
新幹線に乗って帰る羽目にもなった。
酸味果物から、酸味が薄れてきた時代。
酸味が苦手になってしまった私達の前に、
最後の砦のように立ちはだかる紅玉に、
私はエールを送りたい。
フレ~フレ~まあ~っか!
フレフレまっかっ、フレフレまっかっ!