「そうだ、サンタに会いに行こう!」
24年前、レストランの中で、突然思いついた。
思いついたレストランは、
サンタの本場フィンランドの首都ヘルシンキにあった。
世界の車窓からのプロデューサー
夕焼けさんと、
料理を前にして、目を輝かせたのだ。
フィンランドにやってきて、サンタさんに会わない手はない。
しかし、通訳のいない我々には、
どこへ行ったらサンタに会えるのかが分からない。
とりあえず、隣のテーブルのオジサンに声をかけた。
「サンタさんに会いたいんですけんど、どこへ行けば・・」
英語もフィンランド語も、喋れない二人である。
この内容を身振り手振りのマイムで表現する。
その当時、まだ東洋人が珍しかった北欧で、
クネクネ、パフォーマンスをする東洋人に、
オジサンは、いたく心を動かされたらしい。
手をうって拍手し、「もっと踊れ」とはやしたてる。
う~む、サンタが通じていない。
よし、トナカイを登場させよう。
テーブルの横で、トナカイがソリを曳くマイムを演じる。
すると、身をのりだしたオジサン。
「トナカイの肉を食いたいのか?」
『えっ、いや・・』
「トナカイは放牧してるから、いくらでも食えるゾ」
『サンタさんに・・』
「おりょっ?君らの皿に乗っているのは、
トナカイの肉じゃないか!」
『えっ、そうなの?』
いつの間にか、トナカイを腹に収めていたらしい。
しょうがない、最後の手段。
歌を歌うことにした。
♪~ジングルベール、ジングルベール~♪
夕焼けさんもすぐにのってきた。
♪~鈴がぁー鳴るぅ~♪
おもいっきり日本語である。
♪~粉雪ふったら、クリスマスぅ~♪
っと、レストランに居合わせた客達が、合唱を始めたのである。
♪~あっかいお鼻のぉ~♪
その後、数曲クリスマスソングの熱唱が続いたのだった。
パフォーマンス料として、ビールまでおごって貰った。
結局、サンタさんに会いに行く事はできなかった。
レストランを出たあと、夕焼けさんのガラガラ声が、
ヘルシンキの街中に、こだましていた。
♪~ダッシンスルーザ・スノー~♪
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