
その昔、40年以上遡る。
当時、雑誌の付録に、あるモノが付いてきた。
<ソノシート>
レコード盤の、柔らかいヤツだ。
赤い色のソノシートが多かった。
アイドルの歌が入っているらしい事が、表面に書いてある。
今でいうところの、<DVD付き>ってえやつだ。
付いてきたのは、嬉しいのだが、
我が家には、肝心のレコーダーが無い。
ソフトは有るのに、ハードが無い。
どんな歌が入っているのか気になる。
そこで、けんじろう君は、考えた。
(レコーダーを作ればいいじゃないか!)
まず、丸いターンテーブルをダンボールで拵える。
それを、太い釘に固定し、廻るようにする。
次に、針とスピーカーを作る。
用意するモノは、コレだ。
・大きな厚紙
・パラフィン紙
・縫い針
・セロテープ
最初に、厚紙をラッパ状に巻く。
片方の窓が、直径3cm、反対の窓は、直径30cm。
長さは50cm。
その小さい方の窓に、パラフィンをセロテープで止める。
最後に、針をそのパラフィンにブスリと刺し、
厚紙の壁に突き刺し止める。
道具は出来上がった。
さて、音楽鑑賞には、二人の人間がいる。
ソノシートを取り出し、円盤にのせる。
ひとりが、円盤を水平にクルクル廻す。
そこに、ラッパをそお~と担いだ私が、
針をソノシートの溝に近づける。
すると・・どうだ・・
♪~パア~~ンポポ~・・
前奏らしき音が出たではないか!
「もっと早く廻せ!」
♪~パピパピポポピョ~
「速すぎる・・」
♪~ペッペラペペ~いつまあ~でも~
おお、歌が聞こえてきた!
かなり、砂でこするような雑音が入るものの、
メロディがはっきりわかる。
友人の廻し方いかんで、間延びしたり、早口になったり、
楽しい音楽鑑賞である。
ある意味、ラップのハシリかもしれない。