
<縁の下>が好きだ。
エンノシタという語感だけで震えた子供だった。
縁の下には、ドキドキする何かがあると感じた。
子供の頃・・
家の廊下の端で、身長の小さな私が、こごむ。
するとそこに、縁の下が登場する。
単語で表すと・・
クモの巣、暗い、狭い、そして何より、
低い・・
子供にとってさえ、低いと感じる閉塞感の極めの世界が、
そこにある。
その
低さこそが、子供の悦楽だ。
ビクビクのアンダーワールドが、そこにある。
首をすくめて、縁の下に入り込む。
ヤモリの動きを真似る。
じわじわと、よつんばいの形が続く。
(ふむ、この辺りが、寝室の下だな)
(おつ、四角い突起物があるゾ、切りゴタツだな)
思いのほか、乾燥した固い地面がつづく。
(なんだ、このカメは?埋蔵金か?)
おそらく忘れてしまっている、梅を漬けたカメが、
置かれてあったりする。
(ブッ太い柱だ。大黒柱か)
(寛永通貨だ!駒回しの紐にむすぼう)
ゴソゴソゴソ・・
陽の光の中に戻ってくる。
ヒジやヒザが茶色に変色している。
パタパタはたく。
なにやら気配を感じて、振り返ると、
縁側に、閻魔様の形相の母親が、腕を組んでいる。
縁の下を静かに探検しているつもりだったが、
頭をぶつけたり、柱を蹴飛ばしたり、
バレバレだったみたいだ。
どろどろに汚れたけんじろうを、庭の水道まで引っ張っていき、
頭から、延々水をかけられた。
なぜか、怒られなかった。
たぶん・・だけど、
あきらめられたのかもしれない。

富士山の神社の縁の下に、洞窟があった