
恒例のイチゴ狩りである。
恒例と言ったが、2回目である。
何が恒例かというと、イチゴ狩りの前に、
山を走るのである。
三浦富士に走って登り、
腹ペコ、喉カラカラにして、
食べ放題のイチゴ園に駆けつけるのだ。
《ビタミンやたら欲しい身体》を造り上げて、
食べ放題にのぞむのである。
「それ卑怯だろ」
というイチゴ園側の意見もあるだろうが、
我々は、まっとうな理論武装に身をまとい、
汗をぬぐいながら1300円を払う。
さ、温室に入る。
見事なまでに美しい色彩のイチゴの群れだ。
去年は、40個しか食べられなかったので、
今年は、力が入っている。
まず、最初の一個を、口に放り込む。
ムチョッ
ビタミンやたら欲しい口内が、大喜びする。
「うまい!」
仲間の声がする。
しばらくは、無我と夢中の大饗宴だ。
ブチッ、ムチュッ、
昨年の40個は、さらりと通り過ぎた。
「よし、年齢分食おう!」
(節分の考えがよぎる)
58個目に、大きめの熟れたヤツをくらった。
(もう、満足じゃ)
顔を挙げると、まだ皆、手と口を動かしている。
ふむ・・・
ブチッ、ムチョッ
さらに5個・・
<元をとる>という思いが、手を出させる。
さらに3個・・
<せっかくだから>という理由で、口を動かす。
さらに2個・・
<あとで後悔したくない>という考えが、後押しする。
さらに1個・・
<後ろ髪を引かれる>というずるさに、のっかる。
さらに1個・・
<未練>という言葉が浮かんできたので、つい。
さらに1個・・
<最後の1個>と、言い訳をしながら手を伸ばす。
さらに1個・・
<ホントに最後>と口に出して、ちぎる。
さらに1個・・
<おみやげだかんね>と、おみやげを食べてしまう。
結果、73個のビタミンに、私の成育をうながされた。