「アナタはよく洗濯をするほうですか?」
う~む、果たして、この問いで良かったのか?
問い方を変えよう。
「アナタは、洗濯が好きですか?」
う~む、この問いは、さらに難しくなっている。
問いを変えよう。
「アナタは、洗濯をどう思っていますか?」
結局、一番難しい問いになってしまった。
では、私が答えよう。
「私は、洗濯は好きではないが、頻繁にやる」
汗をかいた洗濯モノがあると、気になって仕方がない。
それらが、汗まみれになったまま、腐ってゆく様が耐えられない。
一時も早く、洗浄してやりたくなる。
最初に言っておくが、私は潔癖症ではない。
どちらかと云えば、いい加減だ。
むしろ、いきあたりばったりだ。
その私が、洗濯機のまわりに乱舞した汚れモノを、ジッと見ている。
「こやつ、許すまじ」の視線を送っている。
仕事で、単身赴任をすると、その視線がもっと鋭くなる。
その挙句、すっくと立ち上がる。
やには、洗剤をドボドボ放り込み、スイッチを入れる。
グゥワン、グゥワン・・
洗濯機が、責を果たすべく、うなりをあげる。
ホッとする。
やがて、40分もすると、
ピ~カラピッピポ~
終わりましたヨの調べが歌われる。
さ、問題はここからだ。
やや、億劫になる。
なんとか、気力を振りしぼって、
奴らを干しサオに吊るす。
更に、問題は、この先だ。
数時間後、
奴らは、乾く。
その
奴らを取り込まなければならない。
この行為が、私を憂鬱にさせる。
あれほど、洗う行為に夢中になっていたにも拘わらず、
取り込むダンになると、急にトーンが下がる。
いっきに、洗濯イヤな人間になりさがる。
コレはなぜだろう?
以前から、これが不思議でならなかった。
洗濯の始めと、終わりでは、感情が大きくブレるのだ。
落差が激しいのだ。
ん・・?
ひょっとしたら・・・?
今私は、洗われてキレイになったTシャツを手にしている。
私は、こいつに魅力を感じていない。
そう云えば、さっき、洗われた物体を、<
奴ら>などと呼んでいた。
さげすんでいた。
そうだったのか!
私は、ちょいと汚れちまった彼らに、親しみを感じていたのだ。
その彼らを、更生させる事に、喜びを感じていたのだ。
その挙句、更生してしまった彼らには、
さほどの魅力を感じなかったのだ。
なんという傲慢。
なんというわがまま・・
洗濯というのは、かくも奥の深い行為であったのだ。
ふ~ん、洗濯したくない口実を、又言いだしたな!
うぐっ・・