ん・・何をやってるんだ?
道路の端でなにやら工事をしている。
近寄ってみた。
(近寄っちゃ駄目だかんね)
お~~~なんと!
電柱を切断しているぅ~!
いらなくなった電柱を切っている。
そうか、その手があったか!
何に対して、
その手なのか解らないが、
切る手があった事に、素直に感動した。
必要のない電柱を除去するには、
<引っこ抜く>もんだとばかり思っていた。
クレーン車がやってきて、ドッコイショと引っこ抜くのだと、
考えていた。
いや、いつも考えていたのではなく、今にして思えば、
そう云う風なイメージを持っていたという意味だ。
残念なことに、
切るというイメージは浮かばなかった。
もし、私にもう少し思慮があれば、
山で木を切るのだから、
町で電柱を切る映像ぐらい浮かんでもよかった筈だ。
想像力の欠如である。
さて、肝心の工事だ。
クレーン車が来るところまでは同じだが、
そのあとが激しい。
切ったあと、重い石柱が好き勝手な動きをしないように、
アチコチ縛り付け、
やがて、その真ん中あたりに、技師が宙づりにされる。
いよいよ切断だ。
大木を切るチェーンソーに似た工具を握りしめ、
やおら、切り始める。
木を切るのと似ているのだが、
なんたって相手は石だ。
いや、コンクリーだ。
大音量を発していいるのに、分断は進まない。
おまけに宙ぶらりんで、力も入りにくい。
ギャ~~~~ン!
「イシマルさん、そろそろ本番まいりますんで・・」
スタッフが私を呼んでいる。
う~~ん、結末を知りたかったのにぃ~
自動ドアをくぐり、エレベーターで地下に降り、
ドア2枚を通り過ぎても、その大音量は、響いていた。
技師の彼は、耳栓を二重にしてるな、きっと・・