
長年、体操競技を見ていて、気になる事がある。
気になるどころではなく、
「だ、だいじょうぶなんですか?」
声を出してしまう種目がある。
《吊り輪》
問題は、フィニッシュだ。
吊り輪のフィニッシュでは、吊り輪を離さなければならない。
ここで、吊り輪の形状を思い出してみよう。
上方から、ぶら下がった2本のヒモに、輪っかが付いている。
その輪っかを、最後は離すのだ。
さあ、アナタがこの吊り輪をやっていると想像して下さい。
両手で持っている輪っかから、手を離して、
身体をグルグル回したらどうなります?
離した輪っかの付いたヒモに、
アナタの身体が引っ掛かりませんか?
手やら足やらが、ヒモに巻きついてしまいませんか?
フィニッシュの後のヒモの動きに注意して下さい。
選手が着地した後には、グルグル巻きになって、揺れてますゾ。
私は、選手の着地よりも、そっちばかり見ていて、
着地が乱れたかどうかなんてわかりゃしない。
その代わり、○○選手が手を離したあとの、
ヒモのモツレ具合なら、すぐに解説できる!
どうだ!
《吊り輪のヒモ解説員》
「うまくまとめましたネェ~高得点が出ますヨ~」
「もっと激しく巻き付いた方がアピールになりますがネ」
体操競技の中で、唯一、
「あとはどうなれ」的な道具の使い方である。
ところで、あの吊り輪にぶら下がった事がありますか?
もしぶら下がったなら、
体操選手がいかに凄いかが実感できるのだ。
ぶら下がったアナタは、
ぶら下がったそのままで、
な~んにも出来ない自分にびっくりするだろう。
鉄棒なら懸垂できるアナタでさえ、
吊り輪より上に、顔すら揚げられない。
誰があんな器具を考えついたのだろう?
えっ、平行棒からのフィニッシュの方が怖いって?