《凍結防止のため、扉を閉めたら、開けてください》
はい、アナタ・・
この注意書きの趣旨が理解できたかな?
常日頃、
ドアを開けたら、閉めろと言われ続けている私達だ。
間違っても、
閉めたら開けろ、とは言われていない私達だ。
そこは、山小屋のトイレである。
標高2000mにあり、夏でも、涼しく快適である。
ところが、夏をどっちかに振れると、
涼しいどころではなくなる。
秋・・いや、冬のトイレに変貌する。
ドアの隙間に霜が付き、固まり、
ドアが開かなくなる。
さ、今言った言葉が重要だ。
ドアが
閉まらなくなるのは、問題は少ない。
いざとなったら、オープンのままで、ヒレばよろしい。
山男には、そのくらいの心意気がある。
ところが、もし、トイレのドアが、
「開かなかったら?」
これは、一大事だ!
山小屋に泊まっている大勢の老若男女が、
扉の前で、右往左往するハメになる。
「誰だ、閉めたのは!」
ドアを閉めた犯人を、糾弾し始める。
「凍結防止のため、扉をしめたら、あけてください」
この不思議な張り紙は、
切羽詰ったお願いだったのだ!
長衛荘 甲斐駒ケ岳山小屋