う~む、久かたぶりに唸ってしまった。
蕎麦屋である。
信州は、八ヶ岳のビーナスラインという街道に、
その店はある。
お土産屋に併設しているような、
なんてことない蕎麦屋だ。
登山からの帰りに、
間違って・・
しょうがないから・・
ほかに開いてなかったから・・
つい・・
ノレンをくぐった店である。
正直に言おう・・
うまい!
そば自体もさることながら、
つけ汁が、独特だ。
かなり濃い醤油色をしているのだが、
ほんのり甘いうまみに、箸がとまる。
ためしに、小指を汁に浸して舐めてみた。
ふ~~~む・・
どうやったら、こんな深い
日本味が出せるのだろう?
おっ、今、いい事言ったネ。
《日本味》(にほんあじ)
そう、あまりにも微妙で、舌の先を通り越し、喉の奥、
かつ胃袋までも痺れさせる味わいが、日本味だ。
この店に、八ヶ岳の登山の帰りに、
二度連続立ち寄ってしまった。
二度目はわざわざ、たずねている。
やばい・・
はまりそうだ。
「そばには、人を遠くまで走らせる力がある」と言う。
言っているのは、私だ。
その私が、850円のもりそばを喰らう為に、
その値段の10倍の交通費を払い、
往復7時間のエネルギーを使って通おうと、
ほくそ笑んでいる。
誰か!・・私を羽交い絞めにして止めてくんない?