
伊豆大島の火山を誤解していた。
あまりにも首都圏に在りすぎる為か、
さほどの規模でない、中学生くらいの火山をイメージしていた。
伊豆大島には、時速80キロの高速船でゆく。
昔風に云えば、水中翼船(すいちゅうよくせん)というやつだ。
あっと云う間に着いてしまう。
船旅の趣はない。
まあ、なくてもいい。
島での時間が、増えるほうがいい。
着くや否や、レンタルバイクを借りる。
50CCのカブだ。
自転車を借りようとしていたのだが、
さるお方が申すには、
「八丈島より、過酷だぞ」
アップダウンが激しく、標高差400、500は当たり前。
「石垣島一周より、酷いナ」
他のさるお方も申す。
あっそ・・方向転換は素早かった。
島の交通量は少ない。
信号もほとんどない。
50CCバイクは、エンジン音も高らかに、
鼻歌を風に流しながら、島を一周する。
一周60キロ弱なんだから、2時間もあれば・・
とはいかない。
何にでも引っかかるイシマル探検隊である。
小さな小道にも入り込んでゆく。
「ちょっと、どこ行くの? この先行き止まりだヨ」
オジサンに注意される。
伊豆大島といえば、椿である。
椿だらけである。
椿のトンネルもあれば、椿の祭りもやっている。
そうそう、話は、火山だった。
三原山は、現役の活火山である。
1986年に、真っ赤な溶岩を噴出して、
島民が船で避難したのは、記憶に新しい。
その
噴火口を覗くことが出来ると云うではないか!
運動靴程度の装備で行けると云うではないか!
ところが、我が探検隊は、
雪中登山と同じ格好で、島に渡ってしまった。
アイゼンこそ履いていないが、
雨風、ヤリでも降ってみろとばかりの格好だ。
なんせ、
火山探査の心づもりなのだ。
観光バスから降りてくるオバチャマたちと、
一緒に歩くのが恥ずかしい。
とても、同じ場所を目指しているとは思えない。
「おたくらも、噴火口見に行くんですか?」
尋ねられたら、どう答えよう?
ま、いっか。
たとえどんな時でも装備を怠らないイシマル探検隊だ。
それが、正解だった事が、このあと知れる。