
昨日、自転車を買ったのだ。
頻繁に京都で撮影があるので、ホテルからの通勤用として、
マウンテンバイクを買い求めた。
鼻歌流して、こぎだした。
10分も調子こいていたら、突然チェーンが外れた。
ガシャンッ!
ふむ、しょうがないナ。
自転車をひっくり返して、チェーンを嵌めようとする。
こいつが間違いだった。
コノヤロコノヤロ!
どうもうまく嵌らない。
コンニャロコンニャロ!
時間がかかる。
エイ!
力任せに、引っ張ったら、
グワッシャ~~ン!
ギア変則部分が、バラバラにふっとんだ。
ど、どうなっとん?
「よし、今買った店に電話をしよう!」
携帯を取り出そうとした。
そこで、私のバカさ加減に気づく。
私の手は素手だ。
チェーンには自転車油が塗ってある。
「両手が油で、ドロドロの真っ黒じゃ~~ん!」
ズボンのポケットの携帯取り出せないじゃないか!
お店の電話番号が書かれた領収書も、
カバンの奥の財布の中だ。
取り出せないじゃないか?
チェーンを触る前に、なぜ、
軍手を買いに行かなかったのか?
ど、どうすれば・・いいの?
途方にくれる。
道ゆく人に、
「すみません、ズボンのポケットに手を突っ込んで、
携帯電話とりだしてもらえます?」
なんて言えるだろうか?
あわよく取り出して貰ったまではいいが、
そのあとどうする?
番号は?
電話までその人にして貰うのかい?
う~~ん・・
うなりたいのに、両手は組めない。
考えたいのに、
アゴにも当てられない。
困っているのに、
額の汗さえぬぐえない。
進退窮まった!
こんな時は、深呼吸に限る。
ス~~~
っと、見上げた目の先に看板が見える。
《旭日湯》
湯?
お風呂屋さん?
自転車が壊れた場所が、銭湯のまん前だったのだ。
っと、おかみさんが現れ・・
「あらあら、手が真っ黒!はい、こっちで洗って」
そうか、風呂とは、
洗う場所だ。
洗うと云う行為の最右翼に位置する場所だ。
これほど恵まれた場所で、私は、
手を真っ黒油だらけにしたのだ。
なんという僥倖!
なんという離れ業!
なんというピンポイントラッキーなチェーン外れ!
このあと、旭日湯のご夫婦が、
旭日湯90年の歴史を楽しく語ってくれたのだった。
教訓;
チェーンが外れたら、まず軍手を買いにゆけ!

すぐに、軍手持参で駆けつけてくれた自転車屋さん