
ケイバー吉田勝次さんは、実は、探検家である。
今、たまたま洞窟にもぐっているのだが、
その実、探検であれば、どこにでも行くのだ。
ところが、地球上、探検できる未知の場所はほとんど無い。
あるとすれば、地下世界・・
日本も、世界も、未踏の洞窟だらけなのだと言う。
『日本に在る洞窟のうち、何%見つかってますかねえ?』
「半分じゃない」
『では、世界では?』
「10%かな」
『洞窟内で、怖いと思った事ないんですか?』
「ず~っと怖いよ」
『え~?吉田さんでも、怖いんだ!』
「もちろん幽霊が怖いんじゃないヨ、暗闇が怖いんじゃないヨ」
『ええ』
「この先進んで、帰還できるのか?戻れるのか?」
『ゴクっ』
「この竪穴を降りて、ロープが切れたらどうなる?」
『ヒエッ』
「地下の川を遡行している時、増水したらどうする?」
『ウゥゥ・・』
「狭いギリギリの穴をくぐっていて、詰まったら?」
『イィィィ・・』
常に最悪の状態を想像しながら、
地下世界を彷徨っているのが探検家だ。
ただ突き進む無謀さは必要ないらしい。
常に用意周到!危険察知!退却優先!
安全第一!
(これ台湾語で、
アンチェンティーイーと読む)
イシマルが台湾で最初に覚えた単語ふたつの内、片方だ。
もうひとつは、美味しい(ホーチャー)。
台湾ポンフー島で、危険な、
ウインドサーフィンのスピードチャレンジを敢行しながら、
その夜・・
「アンチェンティーイー!」
安全第一と叫びながら、乾杯している我々であった。
「それが、大事です」
吉田さんも賛同してくれた。
「いつも怖い、いつも怯えている、それが正しい探検家です」
『それじゃ面白くないんじゃないですか?』
「いや、地下世界で、
とんでもないモノを見つけたら、
その興奮たるや!」
『
とんでもないモノって?』
「ふふふ・・来てごらん、それはそれは・・・」
『ええ~教えてくださいヨォ~?』
「先日・・パタゴニアでネ・・」
その様子は、NHKBSでその内、放送されるらしい。

こんなとこでも、サンダルでポケットに両手突っ込んで歩く吉田さん