
《空白の五マイル》
~チベット世界最大のツアンボー峡谷に挑む~
角幡唯介
集英社文庫
本屋を流していたら、目にとまった。
思わず手に取り、レジに向かった。
いっきに読んだ。
読みながら、ふと、作者が気になった。
<角幡>(かくはた)?
ここで、15年前の話に戻る。
私の冒険の師匠<藤原>が、ある日ニューギニアに旅立つと言う。
なんでも、
オセアニア最高峰であるニューギニアの山頂に、
日本から、ヨットで行き、川を遡り、登山をし、
最後に岸壁クライミングをして極めようと企てたのだ。
一人では無理なので、部下を集めようと画策した。
オーディションである。
そこで、無理難題的なコピーを、雑誌に載せた。
《かくかくじかじかに行く、何の保障もない、給料もない。
あるのは名誉だけ》
ひどい募集である。
しかし、世の中には、
ひどければひどいほど魅力を感じる人種がいる。
結果、3人のお馬鹿が集まった。
その3人を3ヶ月鍛え上げ、藤原さんは旅立った。
旅立ちの日、三浦半島のヨットハーバーで、
ニッコリ笑う4人がいた。
その一人が、角幡くんであった。
当時、早稲田大学の探検部にいたツワモノである。
この後の話はあまりにも長いので、後日としよう。
そこで、先日の話だ。
「ボクも、その本、つい本屋で手にとって読んだヨ」
語っているのは、洞窟探検家の吉田さんだ。
聞けば、角幡を知っているという。
黒部渓谷の秘境を一緒に探検したと言うではないか!
さらに、
「ああ、角幡君は、ついにツアンボーに行ったんだネ」
探検家は、探検家の夢を無意識に感じているらしい。
ん・・そうか、
15年の歳月を経て、私が知っている
探険家3人が結びついた。
藤原、角幡、吉田。
類は、類を呼ぶ。
凄い奴は、凄い奴を呼ぶ。
破格のお馬鹿は、破格のお馬鹿を呼ぶ。
破格のお馬鹿になりきれない私のつぶやき・・
「いいなあ~探険家・・」