
48年ぶりの寒い日だった。
今年のウインドサーフィンのマスターズの開催日である。
4月だというのに、吐く息が白い!
氷雨まで降っている。
40才から、77才まで、90名が海に出てゆく。
真冬に匹敵する寒さである。
手の指が痛い。
顔面が雨で濡れているので、定かでないが、
皆の眼から、涙があふれている気がする。
やがて陸に帰ってくるのだが、唇が寒さで震え、
まともに喋れない。
「はい、暖かいお茶ですヨ~」
渡されるお茶の紙カップを片手で受け取れない。
かじかむという症状が起きている。
「4月として、48年ぶりの寒さだって!」
そんな中でも、誰一人、「やめよう」とは言わない。
なんせ、マスターズに出場する諸氏は、
人生を楽しむことにかけては、達人なのだ。
「寒い、痛いは、
気のセイ~
気のセイ~」
鼻歌まじりで、海に出てゆく。
「おお~腹へったあ~!」
海から帰ってくるなり、配られる豚マンに喰らいつく!
配られるコロッケパンにケチャップをぶちまけ、
ほお張っている。
スポーツドリンクを手渡してくれている、
レッドブルのオネェちゃんに纏わり付いている奴もいる。
「スカートじゃないんだ!」
あまりの寒さに、レッドブルのオネェちゃんが、
ズボンを履いているのが気に入らないと、
喚いているオジサンまでいる。
アンタら、いったい何才なんだ!
計算してみたら、
平均年齢52才だった。

67才にして初出場のイサミさん 凄い!