
アカスリを使ってる?
風呂に入って、身体を洗うのに、
アカスリを使うようになって久しい。
昔は、ヘチマの時代があった。
子供には、ヘチマは痛かった。
タオルでそのまま身体を洗うのが、標準だった。
いつの頃からだろうか、化学繊維で作られたアカスリが登場し、
様々な形状に形を変え、風呂場にぶら下がっている。
泡立ちもよく、泡切れも素晴らしい。
昨夜、その泡を洗い流しながら、ふと感心してしまった。
我が家にあるもので、
最も清潔なモノは、こいつじゃなかろうか?
なにせ、毎日洗われている。
洗剤をたっぷりまぶされ洗われている。
台所のスポンジも毎日何度も洗われているが、
ヤツは、油汚れにも対処しなければならない。
ダスターボックスの垢なんかにも、手を出している。
ところが、アカスリの対決している物体は、
さして汚れのない、人の皮膚だ。
ほとんど汚れていない皮膚を暖めた上で、
なぞっているだけだ。
こんな効率のよい仕事もない。
仕事が終われば、換気された部屋で、陰干しである。
すぐにカラカラに乾く。
清潔に吊るし置かれる。
洗濯物のように、押入れにたたまれて、
虫の脅威にさらされる心配もない。
「ボクが一番清潔です!」
宣言しても、きっと皆うなづく。
「いや、それは、おいらだヨ」
洗濯機の<洗濯漕>が、ヨコヤリを入れてきた。
ふむ、こいつも毎日のように、長い間洗いまくっている。
しつこくしつこく洗いまくっている。
しかし、残念かな・・
スーパーの洗剤売り場には、
<洗濯漕アカ洗い>なるモノが売られている。
アレは、洗濯漕には汚れが残っている、
と知らしめているのだナ。
「私をお忘れではないかい」
台所の下の方から声がかかる。
<食洗機>
こりゃ強敵が現れた。
なんせ、洗剤で洗い、ゆすいだあと、
高温蒸気で蒸して、最後に乾燥させている。
完璧だ。
ううむ、アカスリの清潔一番は崩れるのだろうか?
あのね、食洗機さんよぉ~
おととい、アンタの中から、
湯呑みを出してお茶呑んだんだけどヨ。
な~んか、変だったのネ。
あれって、実は洗わなかったんじゃねぇの?
時々、アンタやるよね。
食器入れただけで、
スイッチ入れるの忘れる・・
「ガ~~~ン!」
ガ~~ンとか言ってるうちは、一番になれません。
アカスリさんは、いつも涼しい顔してるゼ!