
~昨日からの続き~
イリョウの話をしばし・・
40年前の私、
大学時代には、アルバイトで生計を立てていた。
私ほどではないが、イリョウも、同列だ。
そこで、私が探してきたアルバイトにイリョウを引き入れた。
《ラブホテルのフロント》
20才の若者が、やるアルバイトとしては、刺激が強い。
強い・・ハズだった。
イリョウは、私と違った。
常に
勉学の徒である。
アルバイト初日に、抱負を言いつのった。
「オレは、ここで、
英語しか喋らん!」
ベルリッツだの駅前留学だの、
楽に英語就学ができる今の時代でなく、
独学で、英語習得しようという感心な若者、
イリョウがそこにいた。
「
英語しか喋らん!」
力強く、
日本語で喋りながら、フロントに立った。
なんたって、ラブホテルである。
夜、男女が入ってくるのである。
当時のそのホテルでは、
通常のホテルのように、
受付紙に、住所氏名を書いてもらうシステムだった。
夜一人、フロントに、イリョウがいる。
アベックが入ってくる。
「メイアィヘルプユー?」(なにかご用ですか?)
『あ~~、う~~~』
「ベッキュユァ、パードン?」(もう一度お願いします)
『え~~と、あ~~~とぉ~』
「プリーズ、ユァアドレス、エンヂュアネーム」
『ううぅぅ~、ふんがあぁ~』
何組もの客が帰っていった。
イリョウが夜勤をしている夜の売り上げが極端に落ちた。
ホテルの支配人はいぶかり、私に尋ねる。
「なぜだろう?」
私が胸を張って応える。
『大丈夫です、我慢してください』
こぶしを握り締め、声を張り上げる。
『支配人!今に、日本は、良くなります!』