
~昨日の続き~
ラブホテルの話をした。
そもそも、このアルバイトを見つけてきたのは、私ではない。
イワオだ。
こいつも、イリョウと同じく私の悪友である。
イシマル、
イリョウ、
イワオ、この3人で、
ラブホテルの夜のフロントをキリモリしていたのである。
20才のアルバイトの若者に、
ラブホテルの夜のフロントが任された。
イリョウは、昨日述べたとおりだ。
来た客に英語しか喋らない。
そして、イシマルは・・
当時、
タップダンスに燃えていた。
来る日も来る日も、寸暇を惜しんで、タップの練習をしていた。
フロントにいる時間も、寸暇のうちだ。
入り口のタイルの上で、
革靴を踏み鳴らす。
カチャカチャ、カタカタ、コツコツ、ドタドタ!
体力がある分、汗ビショになりながら、
延々、夜中まで、タップを続ける。
ビ~ビ~ビ~
客室からの電話が鳴り響く。
「なんかネ、キツツキみたいな音がウルサイんですが!」
『はい、善処します』
勿論、善処なんかしやしない、朝まで、カタカタは続く。
困ったのは、イワオだ。
イワオの宿直の日も、
売り上げがガタンと落ちた。
イワオは、その頃、キリスト教に妄信していた。
聖書を常に小脇にかかえていた。
夜、男女の客が入ってくる。
料金を払い、部屋に進むその背中に、
聞こえよがしに呼びかけるのだ。
「
汝、姦淫するなかれ・・」
とんでもない、ラブホテルである。
今は無くなった、そのホテルの名は、
丘の上にあったので、こう名づけられていた。
『ヒルトップホテル』

その昔、ヒルトップホテルがあった場所に建つオシャレなビル