「セルフサービスです」
と言われて、嬉しいマシンは何?
コーヒーマシンやお茶マシンは、今や当然になってしまった。
あるホテルの食事会場で見つけたマシンがこれだ。
《
ソフトクリームマシン》
自分でソフトクリームを拵える。
当然、食べ放題!
子供にとっては、夢のマシンだ。
子供でなくなった私でさえ、胸が湧き躍るマシンだ。
許されるなら、マシンの前で、コサックダンスを踊りたい。
「イエッホゥ~!」西部劇の奇声を挙げたい。
そこに設置されたマシンには、3種類のソフトの出口があった。
カップを出口の下にもっていき、コックを倒すと、
ブイィィィ~~ン
好きなだけソフトクリームがうねり出てくる。
グルグルしてもいいし、3種類を混ぜ混ぜしてもいい。
子供はもちろん、大人が長蛇の列で並んでいる。
皆の眼球が、3ミリほど飛び出している。
涎があふれるあまり、何度もぬぐっているオバチャンもいる。
よくよく眺めていると、2回目のオカワリの客がいる。
1回目は、遠慮がちにカップ投入したらしく、
2回目は、こんもり富士山状態に盛っている。
さらに観ていると、3回目にチャレンジした猛者もいた。
自分で拵えるのだから、
普通のソフトクリームの、
2倍はあろうかという大きさである筈なのに、
それをオカワリ3回とは・・よくもまあ・・
「よくそんな事を見てましたネっ」って?
だってさ、係りの方に案内されたテーブルが、
マシンのすぐ横だったのサ。
家族の分までソフトを強奪にくるお母さんが、
カップを私のテーブルにいったん置いたりするのサ。
その甘ったるい香りで、クラクラするのサ。
おいら?
おいらは、ソフトを食べなかっただヨ。
目の前で、何十何百のソフトクリームが、
抽出されるのを見ていると、
もう、胸がいっぱいでサ。
ああ~
子供の頃、このマシンに出会いたかったなあ~
「いいかげんにしなさい! けんじろう!」
叱られても、いつの間にかマシンの前に立っているだろうナ。
きっと、おなか下すだろうな・・