満腹と空腹、どちらが好きかと問われれば、
満腹と答える人が、圧倒的だ。
それはそれでいい。
あの幸せ感は、なにものにも換えがたい。
そこで、空腹に幸せ感はないのだろうかと、首をひねる。
空腹といっても、いつまでも食べられない空腹ではなく、
もうすぐ食べられる空腹の場合だ。
あと1時間すれば、間違いなく胃袋に転がり込んでくる、
肉塊に想いを馳せているその空腹タイムである。
がんがんスポーツで汗を流す。
喉カラカラ、腹の皮、背中にぴったんこ!
落ちているバナナの皮でも拾って食いたいほど、腹ペコ。
「あと1時間待てば・・」
この空腹タイムに、幸せを感じている。
「ひょっとしたら、待っても待っても、食べられないかも?」
確かに、ささやかな不安も感じている。
世の中、時には予測どおりにはならないもんだ。
この不安感は、洞窟にもぐっている時の感じに似ている。
「ひょっとして、閉じ込められるかも?」
似ているが、閉じ込められた事はない。
同じく、食べられなかった事もない。
おおむね、予測は裏切られていない。
だからこそ、その
空腹タイムをジワリとだけ、延長させよう
というマゾヒスティックな思惑が浮かんでくる。
犬は、人に「待て」と言われている。
人は、自分で自分に「待て」を命じられる。
「あいや、しばらく・・」
食事開始の、しばしの延長である。
なぜ、そんなことをするのか?
答えは簡単。
空腹タイムに幸せを感じているからに他ならない。
だから、私は、間食をしない。
おやつを食べない。
「ちょっとだけ摘まんじゃってネ」
腹の隙間を埋める行為をしない。
食事と食事の間は、ただひたすら、
胃袋の在庫減らしに、没頭しているのである。
「いっただきまあ~す!」
いい言葉だなあ~