山小屋と、普通の旅館の違いは何?
《客を断らないのが、山小屋》
もう、一杯で入りきれなくても、断らないのが、
山小屋のルールだ。
もし断ったら、その登山者は、路頭に迷ってしまう。
夏場でも氷点下近くまで下がる山中に放りだされてしまう。
ゆえに、来たもの拒まずのルールが出来上がる。
その昔、宿場と言われた頃、旅館もその習慣があった。
来たもの拒まず、部屋に通したのだ。
「すみませ~ん、相部屋お願いしますぅ~」
旅館側の言葉に、文句を言う人はいなかった。
明日は我が身となる相部屋システムに、
意義を申し立てる愚か者はいなかったのだ。
山小屋でも同じだ。
あとから入って来る登山者の為に、
どんどん自分の所有面積が減らされても、文句は言わない。
先に入所しようが、あとから入ろうが条件は一緒である。
「ひとつの布団に2人で寝て下さい」
言われれば、従うしかない。
「3人で寝て下さい」
言われれば、従うしかない。
「4人で寝てください」
言われたことがないので、従うもんか!
ここまで、混み合うと、寝て下さいと言われても、
眠れるはずがない。
休憩しているだけである。
すなわち、
山小屋イコール避難小屋の考え方だからだ。
「おら、そんなのイヤだ!」
イヤだの方は、テントを担いで登り、泊ればよい。
自分だけの世界にひたれる。
その分、重い重量を山上まで、運びあげるので、
艱難辛苦を強いられる。
「都会の喧騒を忘れて・・」
辿り着いた先が、畳半分の窮屈な布団。
「真夏の想い出に・・」
イビキと寝言の大合唱。
まあ、山小屋がそこまで混みあうのは、夏場の一時期だけだ。
たとえ、窮屈であろうとも、
ワクワクする充実感がソコにある。
東の空に、とんでもない朝焼けなんかが、広がっていたりする。
混んできたら、こう思えばいい。
「コレは、修学旅行だあ!」
どうだ、このサンダルの数!