《セミは、何の役に立っているのだろう?》
ワシワシ、ミンミン、ツクツク、シャーシャー、
暑苦しく鳴いているセミの声が、耳クソを育てている最中に、
疑問が湧いてしまった。
「イシマルさん、その疑問は、
《人間は何の役に立っているのだろう?》
と言っているのと同じですよ」
賢者に諭されそうである。
しかし、主張の激しいセミを見ていると、
どうしても、疑問がわきあがってくる。
奴らが、鳥に食べられている光景はよく目にする。
すると・・<エサ>か?
食物連鎖の為だけに存在しているのか?
我々ドラマ撮影班における<三大ウルサイ困り動物>
カエル
セミ
カラス
その中でも、
季節を限定させられるセミは、
ウルサイではすませられない困ったちゃんなのである。
冬のシーンのカメラを回していて、
ミ~ンミ~ン・・では、視聴者に叱られる。
「役に立たないならどっか行ってくれる?」
暑さもあいまって、悪態をつきたくなる。
その時、気づくのだ。
今吐いた言葉、良かったのかな?
役に立たない奴なんか、いないんじゃないのかな?
自分の都合では、役に立たないかもしれないけんど、
ひょっとしたら、役に立っているかもしれない。
少なくとも、セミ君のあの必死な鳴き方を思うと、
生き方的には、見習いたくなる動物ではある。