この写真、田舎の田んぼで撮ったものだ。
オバチャンと見られる二人の人物が写っている。
もっと近くで撮ってみよう。
やっぱ、オバチャンだ。
顔はよく見えなくても、たぶんオバチャンだ。
私がそう思うのだから、カラスでもそう思うだろう。
そう、コレは、《カカシ》なのである。
見事なまでに、リアルなカカシだ。
従来のカカシは、棒を十字に組んで、
それに服をかけ、帽子をかぶせた簡単なモノだ。
カラスは、それを見て、あざ笑っている。
カカシの頭にとまったりしている。
カカシの帽子に、カラスの糞があるのがその証拠だ。
「そんなじゃ、カカシの役目にゃならんで」
農家の誰かが、言い出したようだ。
どうやったら、人間にそっくりになるか?
まず、頭にひらめいたのが、
「
動いていない人間はいない」
そこで、動くカカシを作ろうとするが、
ロボットは金がかかりすぎる。
では、じっとしていて、人間に見えるにはどうしたらいい。
《休憩している人間》
休憩している人間を観察してみると、
単体ではなく、二人でいることが多い。
よし、二人で喋らせよう。
しかして、
二人で何気なく佇むカカシが出来たものと考える。
このカカシに、モデルはいるのだろうか?
たぶん、お婆ちゃんとお母ちゃんにお願いしたと思える。
鍬の柄に両手を置いたフォームなんぞ、
このまま、上野近代美術館に寄贈して貰いたいほどだ。
題名
《
あたしゃ案山子》
山芋のツル