<あしたば>ってえ草がある。
明日葉と書いたりする。
栄養価たっぷりの野菜だ。
いや、
雑草だ。
伊豆大島に行くと、どこにでも生えている。
黙って摘んでも怒られない。
むしろ雑草刈りをしてくれたと、喜ばれたりする(?)
今年、その大島から、あしたばの苗を買い求めてきた。
すぐに、庭に植えた。
瞬く間に、根がついた。
そしてスクスクと育った。
さすが雑草!
・・っと、ここまでは良かった。
ある日、そのあしたば君が枯れた。
背丈40cmほどに育ったところで、突然の逝去だ。
ガックリきた。
「明日はどうなっているだろう?」
来る日も来る日も、見つめ続けていたというのに、
突然のサドンデスである。
猫や犬のように葬ってやることも出来ず、
そのままほおっておいた。
するとだ!
一ヶ月ほどした昨日、ふと庭に目をやると、
あしたば君が、復活しているではないか!
小さくも葉っぱが、土から伸びているのである。
なんという生命力!
なんというしたたかさ!
そして、あしたば君の生き方を目にしたのだ。
数ヶ月前に、育ち始めた時は、
若々しい薄緑色をしていた。
いかにも少年といったイデタチだった。
ところが、復活後のあしたば君は、
土から出てきた葉っぱが、すでに
濃い深緑色をしている。
すでに、人生のなんたるかを知っているオジサンだ。
苦労なさったんだなあ・・
もはや、あしたば君とは呼べない。
あしたばさん・・いや、
あしたばオジサンと呼ぼう。
いきなりの段位を持って出現した、あしたばオジサン。
雑草界の大御所として、
いずれ我が家の庭を埋め尽くしてくれる事だろう。
おひたしと
テンプラを次々に供給してくれる事だろう。
まさかとは思うが、又、逝去なんてことになったら、
次は、
あしたば爺さんで登場する・・なんて事はないよネ。
ないよネ。