「天然ウナギなんて、もう久しく食べてないネェ」
オジサンが嘆いている。
「何言ってんのよ、ウナギすら随分食べてないわヨ」
オバチャンが言い返す。
もはや、絶滅に近いのではないかとさえ言われている、
天然ウナギ。
50年前には、河口で、釣りをすると、
天然ウナギが、たくさん釣れた。
蒲焼にして食べた。
むしろ、養殖の方が珍しく、喜んで食べた記憶がある。
先日、宮崎県の五ヶ瀬川に行った折、
天然ウナギを捕まえる名人に出会った。
夜の間に仕掛けを川に投入し、
翌日、揚げるというものだ。
「アンタも、ひとつ仕掛けを揚げてみな」
言われるまま、釣り糸をたぐっていった。
するとどうだろう?
なにやら、ひどく重いのである。
釣り糸の先の水の中で、
誰かが、綱引きをしているのかと思われるほど、
グイグイ引くのである。
「すんごく重いんですけんど」
なんやかや、揚がってきたウナギに、私も名人も驚いた!
太さが、缶コーヒーほどもある大物だ。
「いや~こんなデカイの、何年ぶりかのぉ~!」
名人が、感嘆している。
目尻が吊り上がっている。
大きさが想像できない方は、すぐに、自販機に走り、
缶コーヒーを見るといい。
その缶コーヒーを8つほど繋げてごらん。
そして、その夜、お店をやっているという名人に、
缶コーヒーを蒲焼にして食べさせてもらった。
超のつく分厚い天然ウナギの蒲焼ができあがった。
私の手のひらより厚かった。
そして不思議なことに、
天然の方が、
脂がしつこくない事実をあらためて知った。
「あっさりとは言わないが、こってりはしてないヨ」
ごはんが欲しい!
もし、食べ終わった途端にすぐに腹ペコになれたとしたら、
ウナ丼、10杯はいけるな!
丼に乗っけるとこの大きさ
おかしら付き