突然、食べ物を 手で食べようと思った。
30年も前の話である。
インドを旅した友人が、
『カレーは 手で食うんじゃ』
と言ったのがきっかけだ。
思いたったらすぐ実行。
ご飯を炊いた。
カレーを作った。
カレーライスが目の前に用意された。
勇気を持って、 右手で、ネチョネチョしようとした。
「アチ・アチ・チ・・」
まずは、食い物は< 熱い>ということが解った。
なんとか 、手で固まりにして、口に放り込んだ。
というより、唇と舌で 手を舐めまわした。
結果、苦労したが、食べられるという事が解った。
おまけに、{ うまい} という事も解った。
石丸、はまった。
とんかつも食った。 手で・・
スパゲッティーも食った。 手で・・
納豆にも挑戦した。 思ったより、簡単だった。
それから、毎日毎日、様々なものを食った。
そして、ある時つまづいた。
食えないものがある事に気づいた。
それは・・
<うどん>
言い換えれば、あったかい麺類である。
<そば> <らーめん>
ラーメン屋に入って頼んだとしましょ。
「おまちど」
出てきたとしましょ。
あの熱々の中に 指を突っ込めますか?
{ 口内} とはたいしたもんで、70度くらいの
お茶でも平気でゴクリしますね。
ところが、{ 指} のだらしないこと・・
10分待っても、麺をつまむ事すらできない。
やっと食べられる温度になった時には、
麺はビロンビロ、伸びきっていた。
挫折!
作家 大江健三郎も言っていた。
<青春とは挫折するもの>
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