《タメトウカップ》
正月恒例、ウインドサーフィンのレースが催された。
タメトウさんが20年前から、
与論島で続けているレースだ。
涙が出るほど美しい海を滑走する我ら。
2レースが行なわれ、なんと!
またまた、私が優勝してしまったのである。
ピノキオ状態のイシマルが出来てしまったのは、
言うまでもない。
副賞の焼酎《有泉(ゆうせん)》を抱えて、
宿の部屋を歩き回るアヤシイおじさんに化したのである。
一昨年優勝の
伊豆丸君(今回2位)に声をかける。
「いやあ~伊豆丸君に勝てたなんて、びっくり嬉しい!」
優勝者は、負けた選手にへりくだる事がわかった。
「最後に、ちょっとでも油断してたら、
伊豆丸君の勝ちだったネ」
2位の選手をヨイショと持ち上げる。
3位の、
学(がく)さんにも声をかける。
「第3マークで、ギリギリ学さんの追い上げをかわせたヨ」
ヨ~イショ。
「スピードでは、学さんには勝てないなあ~」
どっこいしょ。
「ま、ま、一杯!」
有泉の一升瓶をさしむける。
ピノキオの鼻はどんどん、ますます高くなってゆく~