スキーが上手くなるよりも前に、
ある事のエキスパートになった。
スキー場では、ゲレンデという斜面に、
リフトで上がってゆく。
リフトは、2人乗り、3人乗り、4人乗りとある。
落下防止のバーが降りてくるものやら、
何もないものやら、様々である、
「リフトに乗った事がありますか?」
リフトは乗り方が、面白い。
乗るべくイスが、
ゆっくり近づいてくるマシンもあれば、
「タラタラしてんじゃねえ!」
すばやく近づいてくるマシンもある。
余所見していると、突然、
ふくらはぎにイスのフチをぶつけられ、
痛い思いをすることすらある。
慣れない初心者には、リフトマシンに乗るだけで、
スキーというスポーツに関わっている喜びを感ずる。
「乗れた!!!」
ビックリマークをいっぱい付けたくなる味わいである。
そして、さらに難しいのは・・
降りる時だ・・
乗るのは誰でも出来る。
しかし、
降りるのは至難の業であると、誰かが言った。
実際、降りる時、こけて、
リフトを止めてしまった輩もいる。
おっと、話を巻き戻そう。
リフトに乗る、その時の話だ。
まだ、スキーがさほど上手くない私。
ところが、リフトの乗り方には、プロ並の力を発する。
どういうことか?
「どうぞ~」
係員の声に、リフトに座るべく指定の場所まで、進む。
この時、スキーは履いたままだ。
大概の方は、いや、ほとんどの方は、
ここで、
後ろを振り返り、
やがてやってくる自分のイスを見やる。
徐々に近づくイスに手をやり、安全に座る。
ところが!
私は、あるリフトに一度乗ると、次に乗るときには、
自分が乗るイスが近づいてくるタイムが分るのである。
つまり、後ろを振り返らず、
ただ真っ直ぐ前を見ているのだ。
(ふふ、あと、2秒だな)
この状態を、第三者が見た映像で説明してみよう。
指定の位置(線を引いてある所)まで、スキーで進む。
その後方から、イスがグングン近づいてくる。
しかし、私は前を向いたままだ。
やがて、何を思ったか、私の腰が、クネッと曲がり、
座り始めたではないか!
「危ない!そのまま座ると、後ろにひっくり返るゾ!」
っと、そのケツをすくうかのごとく、
イスが現れるのである。
すくっとケツをすくい、
見事なタイミングで私を運んでいくのであった。
「目をつぶってでも乗れる・・」
まだ、まともにスキーすら出来ない人間が、
リフトだけは、完璧な乗り方を修得しているのだ!
とりあえず、
リフトのエキスパートになれたゾ!
<子供落下注意>