
「9番目のを」
宝くじ売り場のすぐ横に自転車を停めた。
スタンドを立てていると、おばちゃんの声が聞こえる。
「
上から9番目のを下さい」
ジャンボ宝くじを、連番で10枚購入しようとしている。
売り場のボックスには、やはりオバちゃんがいて、
連番の束を、目の前で握っている。
購入に来たおばちゃんには、コダワリがあるようだ。
ボックスにいるオバちゃんから、
アトランダムに渡される10枚では気にいらないらしい。
自分で選んだという興奮が欲しいのだ。
もし・・もし万が一当たった場合・・・
「私は、選んだんだかんネ!」
ぼんやり当てたのではなく、
選びぬいて当てたという、
確信を持ちたいのである。
とか、考えていたら、くだんのおばちゃんが・・
「もう10枚、
下から9番目のを」
ほう~このおばちゃんは、9番目にコダワリがあるようだ。
日本人が好きな3番目とか7番目ではなく、
どちらかと云えば、忌み嫌われる9番目に焦点を当てている。
もしかしたら、その昔、宝くじで、
9番目を選択して当たった歴史があるのかもしれない。
ん・・?
おばちゃん、お釣りの4000円をサイフに納めながら、
動きが止まった。
「もう・・・10枚・・・」
・・っと、さすが、
ボックスのオバちゃんも、その道のプロであった。
『上から?下から?』