はたと、手の動きがとまった。
朝、洗面台の前で鏡の前を見つめている。
毎朝、なにげなく歯を磨いているのだが、
歯磨きチューブに大きな関心を寄せていなかった。
目の前にあるチューブを掴んで、キャップをひねり、
中身をさして確かめる事なく、口に放り込んでいた。
ん・・まてよ?
よくよく見ると、チューブがたくさんあるな?
どれどれ・・引っ張り出して並べたら、
5本あった。
各メーカーの自信作が、名前を連ねてある。
なして、5本もあるのだろうか?
無くなったと勘違いして、次々に買ったのだろうか?
単体にこだわらない方がいいと判断したのだろうか?
地方でのホテル住まいの時買ったのが、溜まったのだろうか?
テレビコマーシャルに誘われたのだろうか?
それとも、同じモノだと、飽きるのだろうか?
どうやら、最後の意見が正しいようである。
飽きる。
タダでさえ、歯を磨くという行為はつまらない。
出来ることならやりたくない。
子供は皆そう考える。
大人だって、そう考える。
だから、歯ブラシを変え、歯磨きチューブを変え、
時には、磨く場所も変える。
顔面すら激しく動かし、
<飽きる>という局面を作らない努力をする。
歯を磨くという行為は、
いかにマイナスにならずに、
プラスマイナス0を維持するかという振る舞いだ。
プラスになる事がない。
だから・・つまらない。
飽きる。
<歯を磨く>ことが遊びになったり、
資産が増えたりするなんて事ないのかなあ~