劇作家つかこうへいが率いる劇団つかこうへい事務所。
イシマルが、この事務所に入ったのが、36年前だ。
24才の時。
その5カ月前に、つかさんが新作を発表している。
《出発》 しゅっぱつ
菊池寛の「父帰る」のつか版と呼ばれた作品だ。
その後も、つかさんは、多くの新作を発表し、
再演も行っているのだが、
なぜか、この《出発》だけは、再演していない。
その作品を、
「よお~し、やってやろう!」
と奇特な方が現れた。
錦織一清、少年隊の彼である。
錦織演出による芝居の公演が、京都 南座で催されている。
なんせ、36年ぶりに、つか作品が世に出る。
嬉しくも、イシマルにも、お声がかかった。
出演者の中では、唯一その芝居を観ていた人間である。
もちろん、客としてではあるが・・
つかこうへいの芝居というのは、
台本を読んだだけでは、よく解らない。
何をどう演出すればいいのだか、何がなんだか?
ところが、実際の芝居を観た客には、
スルリと受け止めて貰えるのだ。
稽古を繰り返した出演者、演出、スタッフの誰よりも、
芝居を観たお客さんが、
芝居内容を最も理解している仕掛けになっている。
劇場は、東京では、新橋演舞場。(1428席)
36年前に、
80席しかない小さな劇場でやっていた事を思いだすに、
隔世の感がある。
この芝居には、あの蛾次郎が出ている。
アノ・・とは、寅さんの<男はつらいよ>で、
帝釈天の庭を箒で掃いていた蛾次郎である。
このオイチャン・・初めてお会いしたのだが、
面白いネ。
おかしいネ。