舞台をやっている役者ってのは、困ったもので、
体力があるのか、肝臓が丈夫なのか、
芝居がハネると、街に繰りだし、酒をたしなむ。
昼公演、夜公演と連日続いているにも拘わらず、
楽屋口を出るや、一目散に、酒場へとしけこむ。
「生ビールぅ~!」
「カンパ~~イ!」
飲み屋が閉店するまで、オカワリを繰り返し、
やがて、次の店にむかう。
「焼酎ボトルで~」
「カンパ~~イ!」
やっと夜中の3時にお開きになったかと思いきや、
「部屋飲みしようゼ~」
ホテルの誰かの部屋になだれ込む。
「カンパ~~イ!」
そのうち酒が無くなると、
「よし、買ってこよう!」
近くのコンビニに走る。
気が付けば、空はしらじらと明け、
朝食の時間もあっさり過ぎ、
やっと、
「じゃあ、寝ようか」
となる。
ちょいと眠ってあくびをすれば、まもなく劇場に入る時間だ。
こいつがワンサイクルとなって、公演は過ぎてゆく。
毎日毎日、同じ顔を突き合わせて、
よく話題が尽きないものだと感心させられるが、
お馬鹿な役者共は、そんな
ひとときに情熱を傾けている。
「おい、行くぞ!」
今夜も又、朝までコースが待ち受けているのだ。