
長崎から船に乗り、どんぶらこ~
五島列島に到着する。
五島というからには、五つの島がある。
最も大きな島が、福江島だ。
春先にトライアスロンも催されている周囲322キロの島だ。
この島のトライアスロンは厳しい。
アップダウンが相当ある。
島の南西には、海を遥か下に見下ろす断崖もある。
そこまで登ったかと思えば、
島で最も美しい海岸と呼ばれるビーチまで駆け下る。
レンタカーで廻るにも、エンジンがヒーヒー喚いている。
島の中心に、ハコフグを食べさせてくれる店があった。
ハコフグとは、日頃水族館でしかお目にかかれない魚だ。
皮に薄い毒があるだけで、ほとんど無害。
ハコフグの旨さはキモの旨さである。
身体の三分の二がキモと言っていい。
縦に半分にぶつ切り、味噌ダレで焼いてくれる。
器はハコフグ自身だ。
固い箱状に全身が進化してしまったので、
自らが器として使用される。
かなしい末路である。
しかし、美味しい。
箸でつつくと云うより、スプーンで掬う方が食べやすい。
「うっとこが、最初にこの食べ方始めたとですワ」
表の看板に、自慢げに、そのような事を書いてある。
もっと自慢してもいいかもしれない。
そうか!
ならば、ハコフグのいる海に潜ってみよう!
思い立ち、すぐに潜った。
潜水器具を背中に背負い、ドッポ~~ン。
驚いた!
五島の海は豊であった。
海じゅう、魚であふれていた。
海底にたどり着く前に、イサキだのハマチだの、
大群に囲まれた。
透明度は良いはずの海なのに、
魚が邪魔で、遠くが見えない。
底すら見えない。
何万匹という魚の大群の水族館に誤って落ちた、
と思ってくれればいい。
水面を見上げたものの、魚群の腹しか見えない。
とんでもないぞ、五島列島!

島で一番美しいビーチ