
案山子(かかし)とは、稲穂を鳥たちから守る為に、
田んぼに立てておく人形である。
それはつまり、刈り入れ前の田んぼに置かなければ意味がない。
ところが・・
大分県の中津市、山国(やまくに)町では、
刈り入れた後の田んぼに、案山子が立っている。
ただ立っているのではない。
あるテーマの元に、案山子たちが物語を演じている。
たとえば、野球をしている案山子たち。
たとえば、結婚式の参列者たち。
たとえば、歴史の中の登場人物たち。
数え上げれば切りがない。
この山国町とは、人口2000人をちょっと超える程度。
なのに、10月の終わりから11月いっぱいまで。
田んぼの中に、人口をはるかに超える案山子が立つ。
そうなると、田んぼでは、おっつかなくなり、
道端に、案山子がはみ出る。
町中にも進出する。
広場が、いっぱいになると、木にも登りだす。
数千体の案山子の世界が出現する。
作っているのは、この町の住人だ。
勝手気ままに、案山子を作り出す。
発想は自由だ。
時に、思い出たっぷりに懐かしく、
時に、つい笑顔がこぼれる秀作も・・
すると当然、
自分たちが自分たちの為に拵えた案山子を、
ほかの村や町から人々が見にくるようになった。
だから私も見に行った。
なんという世界だ!
面白い!
こんな素敵なイベント祭りを、放っておいていいのか?
うん、たぶん、いいのだろう。
町の人たちは、気にすることなく勝手にやっている。
商売にする気はないようだ。
糧とは思ってないようだ。
ただ好きなだけ、としか思えない。

新婚さん

喫茶店

病院へ向かう

どちらかは、本物の人間です

私のお気に入りの案山子