今日は、<大畠案>をご紹介しよう。
整形外科の大畠先生が、絞り出した案だ。
医者なのだが、医療と全く関係ない案である。
突然、麻雀の話になる。
マージャンを知らない方は、今日の話は退屈になるので、
散歩にでも行った方が、健康に良いでしょう。
麻雀をしに雀荘(じゃんそう)に、4人の友人と行く。
そこでは、雀代(じゃんだい)という代金を支払う。
1時間いくらという単位で、計算される。
通常、4人で、1500円ほどになる。
つまり、雀荘で遊ばせてもらう場所代と考えればいい。
10時間も遊べば、15000円。
4人で割ると、まあまあの金額になる。
っと、ここで大畠先生が、異義を唱える。
「麻雀の最中に、
長い間考えた人と、
短時間で指した人とが、
同じ金額払うのは不公平じゃないのかな?」
麻雀というのは、反射神経が必要とされるゲームである。
往年の雀士、阿佐田哲也氏も語っている。
「麻雀とは、反射神経である」
ところが、ゆっくりとした熟考型の人もいる。
っと、ここでなぜか滝田君が登場する。
「はい、滝田君、早く切ってネ」
腕組みして考えこむ滝田君を、3人がたしなめる。
「滝田くん、将棋じゃないんだから」
頭を抱えている滝田君に、非難のまなざしを向ける。
「じゅう~びょう~」
将棋の秒読みをして、けん制する。
それでも滝田君は、練りに練って時間を消費している。
我らが1秒しか使わない所作に、10数秒を費やしている。
さあ、そこで、大畠先生が、大畠案をぶち上げた。
≪
消費した時間に応じた、ジャン代の払い方≫
ってのは、どうだろう?
それぞれが、消費する時間をセンサーが感じ取り、
計算して、パーセンテージを算出する。
現在、雀卓(じゃんたく)は、全自動でパイをかき混ぜ、
運び上げ、点棒まで計算してくれる。
日本人が作った機械の中で、
新幹線に準じて素晴らしいマシンだと言われている。
(言われてません)
そのマシンに消費時間を感知するセンサーが、
取り付けられないものだろうか?
もし、センサーで算出すれば、我らの場合、
ジャン代の80%を、
滝田君に払ってもらう計算になる。
さすれば、将棋差しとまで言われている熟考型の滝田君も、
ジャン代惜しさに、反射的に手が動くのではないか?
1~2秒で、パイを切ってくれるのではないか?
この大畠案を思いついたこの日、大畠先生は大負けし、
滝田君が大勝していた事は、言うまでもない。
人間、
口惜しさが、発明品を生むきっかけになる・・