
又、やっちまった。
そこは、夕食の場、ホテルのバイキング会場だった。
「お飲み物は、ご自由にどうぞ」
どうぞと言われて、まず、ビール摂取に向かった。
アレっ・・?
見た事のないマシンがそこに設置されていた。
《新式ビールサーバー》
ホテルの食べ放題飲み放題バイキングでは、
ちょっと目を離すと、新式のビールサーバーが、
自慢たっぷりに登場する。
このサーバーを新式と、表現すれば、
「あんた古いわよ」
と非難されるほど、新たなモノが登場する。
ん・・・?
マシンの前で、固まってしまった私。
使い方がわからない。
わからないのは、毎度のことである。
気にする必要はない。
すぐに、理解できるののだと、鼻をふくらましている。
誰でも扱えるように、説明書きもある。
私の場合、その説明書きを読まないクセがある。
とりあえず、先に進めるクセがある。
進めながら、説明書きを読むふりをする。
「さあ、ビールを注ごう!」
ビールグラスを、マシンに置く。
ボタンを押す。
するとだ・・・マシンから吐き出てきた泡状のビールが、
周りに飛び散るではないか!
マシンの周りばビショビショになり、
床にもシミが広がってゆく。
「まさか・・・」
何か、間違った操作をしたに違いない。
そこで、グラスの置き方を変えた。
ボタンを押した。
するとどうだ・・
再び、ビールの泡が、周りに巻き散らかされたのだ!
ドタドタドタ、
従業員が目を吊り上げて走って来た。
その彼が、何かを指さしている。
指さす先を目で追うと、グラスケースがある。
ふむ、そこには、ビール専用のグラスが冷やされている。
目を戻すと、私が使用したグラス置き場がある。
ふ~ん、私のグラスは、コーラとかジュースとか専用ですか?
ですか?
グラス違いでは、事件が起きるですか?
起きたですか?
モップとか、雑巾とかが出動するですか?
店内のお客さんの蔑みの笑いが出るですか?
「こんな簡単な器械を扱えないとは!」
笑われたですか、私?