靴の中に、砂が入っている。
気持ちが悪い。
しばらく我慢している。
砂が少々入ったくらいで、精神的に弱る訳にはいかない。
何もなかったフリをしている。
しばらくが5分も経つと、やはりというべきか、
しゃがみ込む。
片足づつ靴を脱ぐ。
トントンし、砂を外に出す。
ちゃんと出たか、内部を覗き込む。
手でかき出す。
安心したところで、靴を履き、歩き出す。
ところが・・・
10歩も歩いたところで、内部に砂がまだある事実に驚く。
あれほど、神経質にトントンやったのに、
手でかき出したのに、
まだ砂が残っている。
なぜ・・?
再び、座り込み、執拗にトントンやる。
ひょっとしたらと思い立ち、靴の中敷きを引っ張り出し、
トントンに拍車がかかる。
「よし、ここまでやったら、一粒の砂も残っていないだろう!」
確信をもって、靴を履く。
歩き出す。
その1分後だ。
なんだなんだ?
靴と靴下の間でザラザラする気持ち悪い砂粒はぁ~
いったいどこに隠れているというのだろう?
靴にそんなポケットあっただろうか?
3回目のトントンともなると、額にシワがより、
唇はめくれあがり、鼻から煙が噴き出している。
靴を振り下ろす動きは、
オラウータンが木の棒を振り下ろす動きにそっくりだ。
私の経験によると、
《一回のトントンで砂が全部でる事は、絶対にない!》