
ガチョウを食べた事がある?
台湾はタイペイの夜市をブラついていた。
ある店の前に、ガチョウの絵が描かれている。
「今夜の夕食はコレにしよう」
迷わず入る。
言葉がわからないので、手振り身振りで、注文する。
やがて、たぶん頼んだであろうモノが出てくる。
皆の顔がテーブル上に集まる。
「ガチョウかな?ガチョウなんだな」
なんせ、皆、ガチョウを食べた事がないから、
目の前の肉が、アヒルなのか鶏なのか、ガチョウなのか・・
判断する自信がない。
皆、恐る恐る箸を伸ばし、口に放り込んだ。
「うまい!」
実に濃厚な味である。
「にくぅぅ~」と声に出して叫びたくなる噛みごたえである。
その時、滝田君がのたまった。
「いやあ~やっぱダックは旨いねぇ~」
滝田くん、
ダックは
アヒルでしょ。
ガチョウは、
グースだヨ。
「ああ、そうだった・・
ガチョ~ン!」
誰かが言うだろうと危惧していたダジャレが、
やっぱり滝田くんの口から飛び出した。
非常にガッカリである。
追加注文に、コレを試してみた。
《油飯》
(あぶらめし)と我々は読んだ。
頼んでみると、白いご飯に、油汁が少々かけられ、
肉のかけらが乗っている。
最初に口にした滝田くんの目が裏返っている。
「ど・どしたの?」
『う・う・うんま~い!』
皆で回し食いをする。
『う・う・うんま~い!』
あまりの旨さに、驚きあきれてしまった。
そして全員の意見が一致した。
「こいつを日本に帰って拵えようとしても、絶対無理だな」
今回の台湾の旅で、一番旨かったモノに認定された。
《ガチョウ屋の油飯》