昨日、産湯が温泉だった話をした。
では、高校3年生だった時の、わが家の風呂の話だ。
その家は、元、国際旅館であった。
父親が、別府にあったその物件に住もうと考えた。
広かった。
旅館であったのだから、名前も付いている。
《青雲荘》
客室が、30ほどもあり、宴会用の大部屋は100畳の広さだ。
外には、テニスコートが2面あった。
「どの部屋を使ってもいいゾ」
父親の言葉に、すぐさま反応する。
けんじろう君がゲットしたのは、その100畳の宴会場だ。
舞台も付いている。
どこで勉強しようが、眠ろうが自由だ。
一口で、100畳と言っても、こいつの広さは、
その真ん中に座ってみて初めて分かる。
勉強机を真ん中に置いてみた。
うむ、背中がスースーする。
とてもじゃないが、受験勉強に集中できない。
この部屋で勉強したので、私は東大に行けなかった。
(ウソです)
では、眠るのはどうだろう?
まずは、布団をど真ん中に敷いた。
頭は一応、東に向けた。
う~む・・・天井も広い。
天井も100畳あるという発見に、驚いた。
ね、ねむれない・・・
仕方なく、毎晩、隅っこで寝たり、
舞台の上で寝たり、押し入れの中で寝たり・・
100畳の間の旅人となった。
さあ、肝心の温泉風呂だ。
旅館だったのだから、男風呂、女風呂がある。
それぞれの浴室に、湯船が3つある。
ひとつの大きさが、6畳間ほど。
そこに、コンコンと湯が吹き出し続けている。
溢れている云う表現が正しい。
垂れ流しと言ったら怒られるだろうか?
なんせ、温泉だ。
湯を止めてはいけない。
おまけに世界第二位の湧出量を誇る別府温泉だ。
それがどんな量なのかを、無理やり表現すると・・
アナタの町に流れている川の流れが、全部温泉だ、
と思っていただきたい。
(ウソじゃありません)
毎分、10万リットルって、どんなですか?
「あ~温泉はいいなあ~」
とは、けんじろう君はならなかった。
なんたって青春の高校生。
風呂は嫌いだ。
一応、3つの湯船に5秒づつ浸かって、ピョンと出るのであった。
写真は青雲荘ではありません