「ブラインドタッチは、速ければいいものではない」
パソコンを買い求め、このコーナーを開いた頃、
ブラインドタッチの練習を始めた。
指先が器用な私だ。
あっという間に、高速に近づいた。
しかし、ふと立ち止まったのである。
「速ければいいのか?」
昔、ワープロが無い頃、人は、ペンで文章を書いた。
頭で考えながら、ペンを動かした。
紙に浮かび上がるインクの文字を追いながら、さらに、頭の中で、
発想が湧いてゆく。
《文字を書くスピード》
コレって、大切な要素なのではないだろうか?
この思い付きがひらめいた途端、ブラインドタッチの修練を止めた。
どうしても見ないと出来ない障害をつくった。
<―>やら、<~>などは見ないと押せないようにした。
数字も、必ず見る癖をつけた。
これだけで、スピードが落ちた。
今、スピードと打った中にも、バーが入っている。
バーの中にも入っている。
こうして、ある一定のスピードをでキーを打つ習慣が出来上がった。
そのスピードを、音楽符号のテンポを表すものをお借りして、
<アンダンテ>(歩くような速さ)と言ってみよう。
そこで、文章を書くスピードを、書くときに使う道具にあてはめ、
表現してみよう。
6つに分類した。
《
毛筆》
正月の書き初めである。
一文字づつ精神統一してしたためるので、かなり遅い。
今書いている文章を夜明けに筆で書き始めたら、書き終わりは、
ランチを過ぎるかもしれない。
《
つけペン》
先割れした金属のペンを、小瓶に入ったインクに浸して
紙に書いていく作業だ。
筆より、速くはなったが、カリカリと引っかかるペン先は、
必要以上に神経を使い、遅い。
《
ボールペン 楷書》
どれほど筆圧をかけても、大丈夫なボールペン。
速くかける・・筈なのだが、文字はあくまで楷書だ。
四角四面な文字を記してゆく。スピードに限界がある。
《
ボールペン 行書》
サラサラと書き進める。
判読も出来る。
音楽符号における、
歩くスピード・・アンダンテである。
《
ボールペン 草書》
速さは、文字を書くというジャンルでは群を抜いている。
速いのは、やぶさかでないのだが、書いた本人以外、読めない。
江戸時代の文人が書いた書のようで、殆ど読めない。
その昔、父親から届いた手紙も、
三分の一しか判読できなかった。
《
速記》そっき
通訳や、秘書などがメモをとる際、駆使された。
符牒記号である。
早口な人が話すスピードで、文章が記録された。
以上6つに分けてみた。
アナタのパソコンを打つスピードは、どれだろうか?
私は、やはり、アンダンテが気に入っている。
つまり・・行書。