昨日、つけペンの話をした。
つけペンとは、金属の先割れペンをインクの瓶につけ、
文字を書く道具である。
高校時代、このつけペンを使用していた。
受験勉強中の者としては、実に効率の悪い道具を使っている。
鉛筆と比べて、最大の欠点は・・《消しゴムで消せない》。
一度書いたら、ハイそれまでヨ・・
しかも、学校の教室でも、インクの小瓶を机の上に置いている。
こぼしでもしたら、大騒ぎである。
もちろん、テストの時だけは、鉛筆をつかったが、
常日頃は、つけペンである。
なぜか?
面白かったからである。
つけペンで書き進める操作が、楽しかった。
文字を紙に書くという動きが、感覚的に絵を描く作業に似ていた。
ところが、このつけペン。
消耗品である。
ペン先が金属な為、すり減る。
速くて10日、遅くてひと月もたない。
快適に書きたかったら、週に一回、ペン先を取り替えたい。
そう、そのペン先は引っ張れば、外れるようになっている。
文房具屋に行けば、先だけ束にして売っている。
で、もし、ペン先を変えずに使い続けたらどうなるだろうか?
右利きの人が、書き続けると、
先が割れた右側の方が、先から削れてゆく。
先っちょに付いている丸い金属は姿を消し、
やがて、右側は槍のように尖った刃物と化す。
すると・・・どうなる?
書いている時に、紙に刺さる。
ペン先を右下から左上に移動する場合、特に刺さる。
よし、ここで文字の分類をしてみよう。
漢字は良く出来た文字で、ペンが刺さりにくい。
なぜか?
書き順が、すべて上から下。
左から右に書くように出来ている。
その昔は毛筆で書いていたであろうに、
まるで、つけペンの登場を知っていたかのように造られた文字だ。
で、ここで、平仮名の登場だ。
コレはつけペンの天敵だ。
右下から左上に上がってゆく行為を求められる。
<あ>、<め>、<お>などは、ペン先が刺さる筆頭だ。
特に、<ぬ>なんて、二度も輪を描いている。
例えば今、こんな文章を考えてみた。
《阿呆な夢見る、寧々の母親の叔母》
コレをつけペンで書いても、さほど困らない。
なんたってほとんど漢字だ
さあ、ここで、平仮名に変換しよう。
《あほなゆめみる、ねねのははおやのおば》
どうです?すべての文字が、引っかかりを持っている。
先ほどの使い古したペン先で書くと、
紙は破れ、インクが滲み、やがて、
グチャグチャになった子供の絵が出来るだけである。
「じゃあ、万年筆はどうなんですか?」
アナタは当然の質問をする。
万年筆のペン先は、高値な金属で出来ている。
そんじょそこら使い続けても擦り減らない。
だから、本人も言っているではないですか。
「万年使える」と・・・