
どうやら私は、高山病にかかりやすい。
3000m級の山に登ると、その兆候が現れる。
高山病の症状は、風邪に似ている。
船酔いにも似ている。
風邪を引いている時に釣りに行って、船酔いしたと思えばいい。
言ってみれば、最悪である。
頭ガンガン、吐き気もよおし、食欲がなくなる。
とはいえ、3000mの山で、いつもそうなる訳ではない。
高度順化させれば、高山病にはかからない。
その為には、
麓から一気に登ってはいけない。
2000~2500m辺りの山小屋で一泊するのである。
やや薄い空気の中で、身体を馴らす。
酒の飲み過ぎにも注意する。
たとえ滝田くんが、ビールのお代わりしても、自粛する。
目の前で、旨そうにビールを呷っていても、
知らんぷりしていなければならない。
そういえば、滝田くんは、高山病にかからないのだろうか?
「2600mだ、おぃ滝田くん、少し空気薄くなったナ」
『う~ん、わかんない』
「2750mだ、だいぶ薄くなったネ」
『わかんない』
「2900m超えたゾ、薄いだろ?」
『わかんな~い』
「頭、痛くないかい?」
『ビールいこう!』
そういえば、滝田くんは以前、富士山に登った際、弾丸的な登り方、
つまり、
一気に登って一気に下りたんだそうな。
どこにも泊ることなく。
「大丈夫だったの?」
『ぜんぜん』
奴のヘモグロビンは、人間のモノではないと言っておこう。
私が、ハアハア喘いで登る傍で、
汗ひとつかかず、涼しい顔をしている。
君の場合、いっそ、
モンブラン(4810m)とか、
キリマンジャロ(5895m)とかを、
目指した方がいいんじゃないの?
フランスにだって、ビールあるヨ。