《チングルマ》
山岳小説を読んでいると、盛んに登場する高山植物である。
山岳小説にとどまらず、尾瀬などの高原小説にも登場していた。
チングルマを出しとけば、何とかなるの感があった。
その昔、グループサウンズが流行った頃、
詩の中に、
《プラタナス》《ポプラ並木》が頻繁に使われていた。
アレと、思考回路が似ているかもしれない。
《矢車草》やぐるまそう
この名前も、小説の中で良く見かけた。
「矢車草をかき分けながら進むと・・」
などという表記がみられた。
『矢車草って、どんなの?』
知らないまま、読み進む。
他の小説を読んでも、やはり矢車草が出てくる
なんだろう矢車草って?
どんな花だろう、チングルマって?
小説の中でしか会った事にない草と花に、
淡い恋心さえ抱いていた。
そして、この夏、山の中で、その二つに出会ったのである。
チングルマはそれなりの可憐な花であった。
しかし、矢車草は、ただの無骨な草である。
五枚の大きめの葉をもつ草だ。
思い返せば、これまでの山行きでも、頻繁に目にしていた。
「おまえだったのか・・矢車草ってのは?」
はっきり言って、少し肩が落ちた。
期待が大きかったばかりに、落ちた肩に首までくっついていた。
そしてなぜか、ここに写真は載せない。
アナタがいつか、ご自分で見つけて頂きたい。
いじわるしている訳ではない。
肩が落ちるか、「ふ~ん」と鼻が鳴るかは、
アナタの想像力次第だ。