
ついに念願のモノを手に入れた。
《熊の毛皮》
念願と云っても、理解してもらえないだろうから、説明したい。
山登りに行くと、途中座って休みたくなる。
座るには、ケツを地面につけなければならない。
その場所が湿っていれば、当然おケツは湿る。
イヤだ。
ゆえに、私は昔から、自分であるモノを拵えていた。
《尻敷き》
Tシャツの中に、ビニールを入れ、貼りつかせる。
そのTシャツを腰に巻けば、座った時、
おケツが濡れないという訳だ。
この尻敷きの原型は《マタギの熊の毛皮》にある。
日本昔話などに出てくる風体だ。
水分をはじき、尻も暖かい。
傾斜した雪の上に座っても、滑り落ちない。
この40年間、アレを探していた。
どこかに売っていないものかと、目を凝らしていた。
そして、ついに東北のとある村で見つけたのだ。
見つけたのは良かったのだが・・・
熊の毛皮にも、部位があることが分かった。
私が見つけた熊の部位は、なんと・・・
《熊の頭の毛皮》
なんとも具体的である。
鼻も目も耳もある。
目にヒモを通して、腰に括り付け、
おケツにぶら下げて山を登るのである。
まるで、熊に食いつかれたケツである。
この場合、熊除けの鈴代わりになるのだろうか?
それとも、熊を呼び寄せる逆効果になってしまうのだろうか?
『おのれぇ~ワシの爺様を殺しやがってぇ~』