
《爪楊枝入れ》というモノがある。
最近の日本では、冒頭の写真的なものが主流だ。
チャッチャッっとやると、一本の楊枝が、頭から出てくる。
今、頭と呼んだが、尖った方の反対側を指している。
その昔、同じ楊枝入れを違う方法で用いていた。
《尖り先出し方式》
チャッチャッとやると、尖った先から出てくるのである。
この方が、出易いと考えたらしい。
しかし実際は、尖った先が我も我もと小さな穴に集中し、
うまく一本が出てこない。
そして何より、衛生面で問題があった。
尖った先を指先で触り、その一本を取りだせばいいが、
なかなか取り出せないので、数本の先っちょを触りまくる。
自宅の爪楊枝ならいざ知らず、食堂では、いかがなものか?
さらには、両側が尖った爪楊枝も入れられていた。
一度で二度おいしい爪楊枝ではあるが、
チャッチャッで出過ぎた楊枝を、再投入される事もあった。
衛生監査局に叱られそうだ。
チャッチャッ式はイヤだ!
ってんで、登場するのが、蕎麦屋の箸入れの中に、
横たわっているアレだ。
《はし箱同居方式》
それでも、誰かに指で触られるのがイヤだ!
ってんで、発展したのが、レストランなどで、
小さなガラスの器に詰め込まれているのが、
《紙包み林立方式》
アレは、取り出すとき、何本も引っ付いてくるからイヤだ!
ってんで、料亭などの、ちょっと財布が気になるお店で、
箸の横に、並べられているのが、
《爪楊枝置き枕乗せ、袋付楊枝》
しかも、この楊枝はクロモジの木から削りだしたモノで、
刀で削った立派な姿をしている。
先っちょだけ尖っているものの、全体的に太くなっており、
歯の隙間に入りにくい。
無理やり、突っ込もうとすると、
歯肉を突き刺してしまい、
口の中が、ドラキュラ状態になる。
結論が出た。
「爪楊枝は、持ち歩こう!」