
銀座のど真ん中で、しばし暮らしてみよう。
これまで、都内の様々な場所で、ホテル暮らしをしてきた。
ウイークリーマンションも利用してきた。
「よし、どうせなら、銀座はどうだろう?」
通り過ぎるのではなく、その地で眠るのである。
眠ると朝起きる。
まずは朝飯だ。
ヒタヒタと歩き回った。
飯を予感させるモノが見当たらない。
コンビニはあった。
しかし、吉野屋だとか、松屋だとか、定食屋だとかは無い。
パンを食べさせる店は、そこそこあるが、米粒は、無視されている。
昼間、この街でも祭りはやっている。
ピーヒャラ、シャンシャン~
笛、小鼓が鳴り響き、
裃に扮装したオジサンが何やら芝居をしている。
陽が落ちる。
ネオンが輝きだす。
銀座も、ネオンだらけである。
空に向かって、色とりどりの看板が、光っている。
横文字ばかりかと思いきや、意外や、漢字が多い。
それも、漢字一文字だけなんてのが、あっちにもこっちにも。
たまに読めない漢字の看板が登場する。
「読めなくて大丈夫なのだろうか?」
いらぬ心配はいらないらしい。
読めない人には来てもらいたくないのだ。
入口が解らない看板もある。
道端にド~ンと置いてある飲み屋の看板なのに、
キョロキョロ見回しても入口が見つからない。
その看板の電源の配線が来ているビルに入ってみても、
当の店はない。
不思議な街だ。
夜中。
意外に静かである。
喧騒は早いうちに終わるらしい。
歩いている人があまりいない。
ここは、歩く人が来ない街であり、
勝負は早めにして、
タクシーで次の街に繰り出す前座なのかもしれない。
銀座が前座になっているとは皮肉なものだ。