
《山の天気と女心はコロコロ変わる》
と誰かが言ったような気がするが、さほど山の天気は変わる。
変わるってことを知っていても、変わった途端、
「さっきまで、あんなに晴れていたのに!」
ベテランさえ、驚いている。
人は、晴れていれば、積極性が増し、
曇って雨でも落ちてくれば、消極的になる。
ほとんどの人がそうなる。
たった5分10分で、真反対の性格になったりする。
その最も危ない例は、こういう時だ。
朝、晴れていた山中で、急に雲がひろがり、
ポタポタと雨粒が落ちてきた。
「このまま進むのは、危険だな、引き返そう」
そう判断し、雨具を引っ張り出している最中に、
稜線のところに、一瞬、真っ青な空が広がったりする。
一部分でしかないのだが、陽がさしてきたりする。
すると・・
「行けるんじゃないのかナ?行ってみようか」
一喜一憂という言葉にスッポリはまってしまうのだ。
一瞬に過ぎない晴れ間に積極的になり、
黒雲に、消極的になる。
特に、山の秋の空は、分単位でコロコロ変わる。
しかも、《秋の陽のつるべ落とし》とも言うし、
台風はやってくるし、
まったく秋は、山登りには向かない。
ところが、そこには、紅葉という魅力がおいでおいでをしている。
困ったものだ。
山の紅葉は、平地の紅葉とダイナミックさにおいて、ケタが違う。
「ナナカマドの赤を観ていると、目が赤になる」と言った人がいたが、
(ヘタクソなセリフを言うのは、たいがい私だ)
確かに、そんな感じがする。