
シベリア鉄道の踏切が、鳴りだす。
カンカンカンカン
やってくる列車は、たいがい貨物車だ。
機関車が引っ張る車両は、長い。
あまりにも長いので、車両数を数えてみた。
ひいふうみぃ~
60両を超えた。
こんなのが延々過ぎるのだから、
カンカンカンが始まると、
誰もが、素早く踏切を超えようとする。
その心理をしっかり捉えたのが、シベリアの踏切だ。
冒頭の写真を、見返してみよう。
強引に通過しようとしても、道路からとび出した、
ハングした鋼鉄が、その道を阻んでいる。
「どんなトラックでも、止めまっせ!」
気概が伝わってくる。
シベリア鉄道の沿線をぶらりと歩いてみた。
すると、遠くから、
何かを押してくる人たちがいるではないか。
線路のレールを運んでいる。
「なるほど、レールは、ああやって運ぶものなんだな?」
見ていると、次々に、保線車両がやってくる。
脱線を嫌う人たちが、こうやって働いている。
その昔、この路線を造った人達がいた。
70年前に、戦争が終わった後に、
抑留された60万人に及ぶ日本人だ。
極寒の中、食糧もとぼしく、
マイナス40℃50℃の極限状態で働いた。
我らの父親である。
一冬で、数万人が亡くなった。
今は、その線路を守っている人達がいる。
カメラを向けると、親指を立ててくれた。

レールを運ぶ保線員



保線車両の数々