
ゴトトンゴトトン
シベリア鉄道に乗るのは、二回目だ。
今回は、二等寝室の旅である。
シベリアを鉄道で大移動するには、寝台車に乗るしかない。
4人掛けのコンパートメントが、宿泊場所になる。
自分で、シーツを敷き、寝台を整え、パジャマに着替え、
入口に鍵をかける。
ベッド下に、持参のスリッパを配置し、
枕に頭を沈める。
ゴトトンゴトトン
一両に一人、女性のアテンダントが居て、
鍵をかけてくれたり、お湯を配ってくれたり、
かいがししい。
そして、この路線の素晴らしさは・・・
《アナウンスが無い!》
「次はどこどこに泊まります」等の騒音が無い。
全くの沈黙の中、シベリアの広大な大地を疾走する。
眠っていて、降りそこなうのは、アナタのセイである。
静寂がその代償と思えばいい。
延々と続くタイガには、静寂がよく似合う。
沿線に流れる白樺の林。
恐らく、地球上の人口より多い白樺の樹がここにある。
地平線という言葉を、何気なく使っていいのは、
ここかもしれない。